定食屋にて。

スマホを見ながら飯を食っていた俺は舌打ちをする。
「速度制限だ」

視界がボヤける。液晶の中の文字がはっきりしない。
周囲を見渡しても、人や物のアウトラインがかろうじて分かる程度だった。

先ほどまで聞こえていた他の客たちの雑談や、店内のBGMがよく分からない曖昧なものとして聞こえる。

テーブルの上のカツ丼を、口の中に運ぶ。
味がほとんどしない。

これもまた速度制限の特徴だ。


「速度制限法」
働きすぎての日本人のために作られた法律である。
月の仕事量が一定時間を超えると、五感が極端に鈍くなる。

翌月になるまで、家でじっと休むしかないのだ。


しかし、俺が今抱えている案件は、どうしても俺がやらなければならない。
スマホに顔を近づけ、なんとか取引先とのメールを読み取る。

体も重い。息が苦しい。

だが、止まるわけにはいかない。

必要最低限の会話で、返信を済ませる。

まだだ。まだ仕事は残っている。


あと少し、あと……少しだけ……
あれ?……思考が………うまくできな……い


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