ある時、地球そっくりの星が見つかった。


「地球によく似た条件の星」というものは実はこれまでによく見つかったいたのだが、今回発見されたそれは、もはや「似ている」というレベルでは説明がつかないほど。



すなわち左右対称ではあるものの「同じ」なのである。


惑星そのものの大きさ、形、成分も同じ。



辺りを囲っている恒星の様子も全く同じ。


そしてそこに住んでいる生き物も全く同一であった。

向こうの地球も我々が住んでいるのと同じこの時代と同じような文明を持ち、そして全く同じ姿形をした生き物が文明社会を気づいているのである。



この発見に世間は賑わった。


「ここまで全く同一の星が出現するなんてことがあるのだろうか」
「もしかして自分たちが生きているこの星を、神のような超越した存在が複製したものがあの星なのではないか?」
「いや待てよ、自分たちの方がクローンかもしれないぞ」


このように、まさに自分たちの存在意義すらも根底から揺るがす議論が盛んに行われたのだ。




だがそれは偏屈者たちの穿った考えの一つでしかなく、多くの人間は今回の発見を好意的に受け入れていた。


なぜならあの星が自分たちが住む星と全く同じだったとしたのなら、少なくとも宇宙人に対していきなり攻撃を仕掛けるなんて馬鹿な真似はしないだろうと考えたからである。

早速、友好を結ぶため、こちらから使節団が送り込まれることになった。



今ある限りの技術を詰め込んで、どんな外気にも対応できる宇宙スーツや高性能の翻訳機を持たせた。

もちろん、向こうが当初の推測通り地球と全く同じ星であったのなら、これらの道具は一切必要になることはない。


使節団が乗ったロケットから送られて来た映像を、地球の人々は固唾をのんで見守っていた。




「あ」

映像の中の使節団長が声を上げた。



ちょうどあの星まで、距離にして半分にさしかかろうとした時のことである。
何かを発見したであろう彼の声に、人々の期待は否が応でも高まる。



「何かこちらにやってくるぞ」
団長の言う通り、真っ黒な宇宙の海を横切りながら、反対方向より飛行物体がやってくるのが確認された。


それは節団が乗っているロケットと酷似している。いや酷似しているどころではなかった。


「‥‥全く同じだ」
団長がそう呟いたタイミングで、勘の良い乗組員はその事態の意味に気づいた。


しかしもう遅い。ロケットは自動運転に入り、目的のあの星まで一直線で向かっているのだから。
そして、それは向こうのロケットもまた同じなのである。


地球と全く同じ進化を遂げ、全く同じ文明を築きあげたその星は、地球と全く同じタイミングで使節団を派遣し、地球へと至るその軌道もまた、地球からのロケットと当然同一のもの。



そしてまるで合わせ鏡のように、二つのロケットは真正面からぶつかり合ったのだった。



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