男忍者は自らの部屋の真ん中で目をつむって立っていた。両腕の指はそれぞれ人差し指と中指だけを立て、左右のそれらの指を垂直に交差させている。

そしてブツブツと何かをつぶやいていた。


ちょうどその時、部屋の扉がこんこんとノックされる。彼は慌てて入り口に近づくと、そっとその扉を開いた。

「今日は何?」
気の強そうな表情の女忍者が部屋の前に立っている。わざわざ家にまで呼んでどうしたの?と口を尖らせていた。

「この前のほら、分身の術の時のお礼」
男忍者は鮮やかなオレンジ色の頭巾を彼女の前に見せる。途端、女忍者の目が輝いた。

「え、これけっこう高いやつじゃん!良いの?本当に良いの!?」
そう言いながら、既に頭巾を男忍者からひったくるようにして手にしていた。


「もちろん。風邪の症状もすぐに治ったし、オリジナルの僕には申し訳ないけど、でも僕が僕としてここに居られるのは君のおかげだ」

感謝の言葉を述べる男忍者。しかし途端、女忍者の表情が暗くなった。彼女の手には、ここに来る時まで見ていたスマホが握られている。


「今……何していたの?」
疑うような声。男忍者の肩ごしの部屋の中を覗き込もうとする。

「え、いや別に」
男忍者は少し言葉を濁し、彼女の視線を自分の体で塞いだ。

「もしかして、また分身の術を試したりしていないわよね?どうせ回収してもらえるしって」
「ま、まさか……一体何を根拠に?」
そこで女忍者はスマホの画面を男忍者に見せた。


「これは、忍カリ?」
「そう。忍者のフリマサイト。このページを見て」
女忍者がページをスワイプスルと、男忍者の視線は表示されたページの一箇所に固定された。すぐにその顔がみるみる青ざめ始める。


「あの回収業者が流しんたんでしょうけど、あなたが出品されているわ。しかも一人や二人じゃない」
「え、いや、えっとその」
男忍者は何か言葉を言おうとするが意味の通った文章にならない。





女忍者は目の前にいる同級生に向け、疑問の声を投げかけた。


「ねえ、あなたは何番目のあなたなの?」



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